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Architects

吉岡昌一

吉岡昌一建築設計事務所

〒520-0043 滋賀県大津市中央1丁目6-15垣見ビル402
077-522-8480
https://www.yoshi-architects.com/

<略歴>
1960年 滋賀県出身
1982年 大阪工業大学工学部建築学科卒業
1985~2001年 好川忠延建築設計事務所
2002年 吉岡昌一建築設計事務所設立
2015~2020年 一般社団法人パッシブハウス・ジャパン 近畿支部エリアリーダー
2020年~ 一般社団法人パッシブハウス・ジャパン 近畿支部エリアアドバイザー
2019~2020年 公益財団法人 日本建築家協会 近畿支部保存再生部会 部会長
2020年~ 公益財団法人 日本建築家協会 近畿支部保存再生部会 部会長代行

<資格・所属>
一級建築士
省エネ建築診断士
JIA公益財団法人 日本建築家協会 正会員
一般社団法人パッシブハウス・ジャパン 設計事務所会員
日本建築家協会 近畿支部保存再生部会 部会長代行
Acting Chairman of the Japan Institute of Architects Kinki Branch Conservation and Regeneration Subcommittee
京都市上級文化財マネージャー Kyoto City Senior Cultural Properties Manager
滋賀県ヘリテージマネージャー Shiga Heritage Manager
JIA文化財文化財修復塾修了 Completed JIA Cultural Properties Restoration School
古物商許可番号:第60101R030088号 滋賀県公安委員会
特定非営利活動法人大津祭曳山連盟 正会員

<受賞歴>
・2015年11月 パッシブデザインコンペ2015受賞「米原の家」計画案 
・2016年3月  エコハウス・アワード2016 presented by パッシブハウス・ジャパン 優秀賞「彦根の家Ⅱ」
・2016年10月 日本エコハウス大賞2016 優秀賞「米原パッシブハウス」
・2016年11月 パッシブデザインコンペ2016受賞「米原の家」

<雑誌掲載等>
・1999年 芦屋市立宮川小学校 新建築1999年4月号
・2011年 彦根の家 読売新聞
・2011年 今年のニュース(彦根の家)でe-Radio(FM滋賀)に生出演
・2016年11月 日経ホームビルダー  かっこいい低炭素住宅」 東面の大開口」なのに高断熱
・2016年10月13日 韓国ナム新聞 伝統と現代が出会う「米原パッシブハウス」
・2016年10月20日 韓国ナム新聞 暑さ、寒さ、地震を支える力「米原パッシブハウス」
・2016年10月27日 韓国ナム新聞 高齢者のための家「米原パッシブハウス」
・建築知識ビルダーズ2016 No.27(エクスナレッジムック)
・日本エコハウス大賞2016決定

Works

の作品

Interview

インタビュー

Q:パッシブデザインにはいつ頃から取り組んでいるのでしょうか?

私がパッシブデザインを知ったのは2010年のことです。
パッシブデザインとは、太陽の熱や光、風などの自然エネルギーを、機械を使わずに建造物へコントロールする設計手法です。
冬は積極的に日射を取り入れ、夏はなるべく日射を遮蔽して、冷暖房の負荷を減らしながら快適な居住環境を実現するものです。
できるだけ設備に頼らず快適な住まい環境をつくるためにはどうしたらいいか、設計に携わる中で日々考えています。
パッシブデザインを知った前年の2009年、高齢で寝込んでいるおばあさまのための家づくりをしたいという依頼があり、初めて外断熱の住宅設計を行いました。

私は滋賀県出身で、その依頼も滋賀県だったのですが、関西の中でも滋賀県北部にはものすごく冷える地域があるんです。
県全域で見れば内陸性気候で比較的安定しているものの、南部は太平洋側気候および瀬戸内海式気候、一方の北部は日本海側気候という特殊なエリア。
日本では唯一、県内で気象条件が変わる地域で、この気候条件による体への負担で亡くなる方は少なくありません。
2010年に〝パッシブデザイン〞という概念があることを知ってからは、気密・断熱性能を高めるのと同時に、
自然の力を生かすことで最大限高めて、ヒートショックで命を落とすことがない家づくりをしたいと勉強するようになりました。
凍えるような滋賀県の冬であっても、窓際で寝転べてむしろ快適に過ごすことができる、そんな住宅づくりを提案しています。


省エネルギーかつ快適な住宅づくりを目指す

Q:断熱について工夫しているところを教えてください。

当事務所では〝パッシブデザイン〞の考え方をベースに設計を行い、いかに住む人が快適かつ省エネルギーな建築にできるかを重視します。
シミュレーションソフトを用いてエネルギー消費量を算定し、省エネかつ健康・快適な暮らしを実現するために必要な断熱性能を確保するようにしています。
ただし、地域や立地によって気候条件は異なりますし、太陽光がどのくらい入る環境なのかによっても違います。
それによって使用する材料や断熱レベルも変わってきます。
また、人によって温度の感じ方も異なります。例えば、ご主人は暑くても奥様は寒いということはよくある話です。
温度設計については、冬場は20度・夏場は25度を目安にしていますが、正直なところ、実際に住んで体感してみないとわからないことも多々あります。
生活をしてみて実際にどう感じるか、住宅が完成した後も注意深くデータ収集を行っていく必要があると考えています。
最初の段階で、住まいに必要な気密・断熱性能を考えて設計を始めます。
リノベーションの場合は、特にマンションでは、窓の高断熱化に加えて、床の高断熱化を重視しています。
昔の建造物は、いろいろな理由で簡単にリノベーションができないという事情もあり、床の断熱施工が簡単なわけでもありません。
ただ、年配の方は足元が冷えると健康を害してしまう恐れが高く、身体が一番接する部分を改修しようとなると床の高断熱化が一番理に適っています。
方法としては、床面を発泡スチロール系の断熱材を敷いた上にフローリングに変更するのですが、これだけでも随分と体感が違ってきます。
マンションって、外側にバルコニーがついていることが多いですよね。
バルコニーと室内の床のコンクリートがつながっているため、バルコニーの冷たいエネルギーが入り込んで、室内の床が冷えてしまうんですよ。
だから部分的だったとしても断熱加工をするだけで、驚くほど毎日快適に過ごすことができるようになります。


要望に合わせてコストダウンするポイントも見極める

Q:〝パッシブ〞という考え方以外で、デザインのこだわりはありますか?

どちらかと言えば、私は自分のオリジナリティを出すタイプではなく、住宅づくりでは特に施主さんの意見を聞いてからどんなデザインがいいかを考えます。
なので、施主さんの意向次第ではお金をかけるところとそうでないところもかなり明確に分けた設計を行うことも多いです。

例えば、パッシブデザインでは、気密性能も非常に重要ですが、日本では気密性能の確保が難しい引き違い戸が好まれます。
引き違い戸は、高気密・高断熱住宅には適していないので、欧米ではあまり使われません。
その代わり日本ではあまり一般的ではありませんが、「ヘーベーシーベ」という引戸が持ち上がってスライドする窓があります。
このサッシは、閉めてレバーを回転させると気密が確保できます。病院や福祉施設などでも採用されることがありますが、値段が高い。
これに対して、いわゆるはめ殺しの「FIX」ですと、気密性が高く、ヘーベーシーベに比べてFIXは、実は10倍くらい安いんです。
開けることが必要な窓は開き窓にして、開かなくても問題がない窓はFIXに変更するなど、性能を確保しつつコストダウンするためのデザイン提案も積極的に行います。
さらには、場合によっては、備品はほとんど中古品で、テーブルはモデルハウスからもらい受けたお下がりといったように、少しでも削られる部分があれば切り詰めます。
ただし、ここぞというところには希望があれば大理石を使うなど、メリハリをつけた家づくりを要望に合わせて行っています。家づくりは〝共同作業〞。


対話を通してよりよい住まいに

Q:今後、住宅を購入しようとしている方に対してアドバイスをお願いします。

住まいづくりは、施主さんと建築家の二人三脚です。
「はじめまして、これから一緒に頑張りましょう」と顔を合わせてからは、お互いの意見を交互に出し合うのがいいと思っています。
施主さんによってはデザインを優先される人もいれば、ご自身のこだわりが非常に強い人もいらっしゃいます。
住まいづくりに対して理想や想いがあるのは大変うれしいことなのですが、あまり頑なになりすぎず、ぜひ我々専門家の意見にも耳を傾けてみてください。
私の経験上、専門家のアドバイスとご自身の理想のすり合わせが苦手な施主さんほど、周囲に影響されやすい傾向があるようです。
建築家は住む人やその環境に合った設計を考えますので、デザインや材料一つとっても、それを選んだ理由が必ずあります。

こういったアドバイスを聞かずに、ご自身の理想だけを押し通そうとすると、
後々になってほかの住宅のいいところに目移りしてしまうことも多く、そうすると一貫性のない住まいになってしまう恐れがあります。
家を建てる環境によって馴染むものとそうでないもの、その施主さんに相応しい適切なものが必ずあります。
建築家はさまざまな状況を鑑みた中でのベストを提案しますので、まずは専門家の意見も聞いてから、
ではどうしたらご自身の理想に近づけていけるのか、コミュニケーションを通して調整していくのが、住まいづくりの成功の秘訣です。
お一人ですべて考えようとせず、対話を重ねることで一緒に進めていきましょう。
コンクリート外壁の改修検討事例熱シュミレーションソフトによる壁内部の温度分布検討。
現状はコンクリート温度(約3°C)からの冷輻射で寒い。外断熱を追加するとコンクリートが室内に近い温度(約17°C)の熱輻射になり快適になることが解ります。