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Architects

井野 勇志

アトリエカムイ建築設計事務所

〒389-0115 長野県北佐久郡軽井沢町大字追分1425-9
0267-31-5258
https://atelier-camui.com/

|License|
     一級建築士、二級建築士、インテリアプランナー
     BIS(断熱技術)認定登録者 
     ※(社)北海道建築技術協会が認定する資格
     住宅性能評価員、建築基準適合判定資格者、各社瑕疵担保保険検査員

|主な修了研修|
     「信州木造塾」
     「住宅省エネルギー設計技術者講習」※平成26年
     「住宅省エネルギー技術者講習」※令和2年
|仕事以外-趣味|
     旅行、キャンプ

History
1996年 群馬県庁に建築技師として、11年間 公共施設の設計・監理等に従事。
1999年 前橋市立工業短期大学 工学部 建築学科卒業(林貞夫研究室)
2004年 前橋工科大学 工学部 建築学科卒業(石田敏明研究室)
2007年 株式会社 星野リゾート一級建築士事務所 入社
2011年 日本ERI株式会社 入社(住宅性能評価員)
2013年 Life環境デザイン一級建築士事務所設立(現:アトリエカムイ建築設計事務所)
2016年 京都芸術大学大学院 建築デザイン分野修了(芸術修士号取得/堀部安嗣スタジオ)
2016年 住宅デザイン学校(校長 建築家/伊礼智 氏) 第5期設計教室(基本編/上級編)受講修了
2017年 住宅デザイン学校 第6期設計教室受講修了(佐藤重徳賞および佳作受賞) 
2019年 一般社団法人 新木造住宅技術研究協議会(新住協) 関東支部 支部長就任


受賞歴
◆第4回日本エコハウス大賞/奨励賞受賞(御代田の家)
◆第13回佐久地域建築文化賞/奨励賞受賞(灯りの家)
◆第8回軽井沢緑の景観賞/優秀賞受賞(森に集う家-Villa-N-)
◆第10回天童木工家具デザインコンクール/銀賞受賞
◆長野県建築士会佐久支部創立20周年記念事業「住宅設計コンペ」
/奨励賞受賞
◆第7回JIA群馬クラブ学生設計コンクール/審査員長特別賞受賞
◆第3回まえばし家具デザイン学生コンペティション/佳作受賞

Works

の作品

Interview

インタビュー

Q:施主に建築デザインを提案するときの流れを教えてください。

私の場合、軽井沢という土地柄を意識して、家のデザインは、その土地が持っている一番いい場所をリビングにして、寝室から見える景色など、
一つひとつのスペースを考えながら部屋をレイアウトしています。
基本的にデザインのスケッチは全部手書きから始まります。ある程度、デザインが固まってきたら、スタディ模型をつくって、佇まいを確認して提案資料をまとめます。
提案資料を建て主さんにプレゼンしてそれで良ければ設計契約をします。
そこから細かい部分で修正したい部分などをヒアリングして基本設計をまとめます。
基本設計では家族構成とか部屋数とか親御さんが来るとかペットとか奥さんがキッチンを毎日使うかなど細かいことを聞きます。

それを私のほうで噛み砕いて、さらに加えてこうしたらもっといいんじゃないかというプラスアルファをしながら、居心地を大切にして案をまとめます。
なお、燃費の話はプレゼンの時にします。
軽井沢の場合は、氷点下15度くらいになるため、通常、電気代が冬のシーズンで30万円ほどかかる場合もありますが、私が設計した家は多く見積もっても冬場6ヶ月で10万円です。
皆さんから「うそでしょ」と言われるのですが、実際、引き渡した人に聞くと平均8万円、大きい家でも10万円くらいだと聞いています。


第1種より第3種換気のほうがメンテナンス性がいい

Q:断熱性、気密性を重視した家で具体的にこだわっている点はありますか?

先ほど、燃費が半分とお伝えしましたが、毎回、光熱費のシミュレーションを行っています。
私は、新木造住宅技術研究協議会(新住協)にマスター会員として所属しており、新住協が提唱するQ1住宅の性能(軽井沢におけるG1相当)を標準にしています。
Q1住宅は、一般的な新築住宅の性能である省エネ等級4で燃費を算出した時の約半分くらいの燃費性能を出さないと定義に当てはまらないので、
新住協が提供しているQPEX(キューペックス)というソフトを使って、シミュレーションは全棟必ずやっています。
軽井沢の物件が多いのですが、軽井沢は札幌市と同じ2地域なので、G1はUa値0・34です。この性能値を出すのは正直、大変です。
そのため日射取得も計算に入れながら外壁性能以外でも燃費が出る工夫をしています。

例えば、燃費は悪いけどUa値がいい場合、あえてガラス性能を調整して燃費を再計算させたりしています。
あとは換気の仕様は、ダクト式第3種換気を標準にしています。第3種にするのは、メンテナンス性がいいことが理由です。
第1種のほうが燃費の数値がいいのはよくわかっていますが、メンテナンスに関しては年に1回フィルター掃除する程度では不十分です。
ダクト式第3種であれば、給気口だけはまめにフィルター清掃をしてもらい、排気は集中換気の部分だけ年末に掃除してください、という説明で問題ないです。
引き渡した後も燃費や性能だけではなくて10年20年住んでも生活にストレスなく維持しやすいことを重視するという考え方です。


太陽光と輻射式温水パネルヒーターで、冬場の電気代、灯油代がほとんどかからない

Q:外気や太陽光などを取り入れながら断熱・気密性をしっかりするメリットとは?

断熱性能を十分に高めて、日射取得を重視した設計をすると、軽井沢でも冬場にオーバーヒートする可能性すらあります。
軽井沢にある私の事務所は、冬場、太陽光だけで室温が28度というときもあります。
これは、日射取得を重視しすぎてしまったためなのですが、冬は暖房が必要ないくらいの状況になっています。
なので、実際にこの仕組みを取り入れた家に住んでいる住まい手さんからは喜びの声をいただいています。

ただ室温の心地よさには個人差があります。
人によって22〜23度以上なければ嫌だという人や、18度で十分という人もいます。
壁からの輻射熱を考慮した体感温度は室内の空気温度と壁面温度を足して2で割ったものだという説があります。
そのため、断熱性能を高めて室内の壁の表面温度が室内温度とほぼ同じにすることによって、暖房の設定温度を下げても、実際の体感温度としては支障がないという人もいます。

暖房は、基本的には輻射式の温水パネルヒーターで、熱源は灯油です。
灯油を400リットル、タンクを置いて使ってもらうとシーズンに2~3回ほど給油すれば大丈夫です。
足元は、床断熱ではなく、基礎外断熱を採用しています。
基礎断熱のメリットとしては、床下の温度が部屋とほぼ同じくらいになるので、水道管の凍結を防ぎ、ヒーターに頼らなくても良く、冬の電気使用料を抑えることができます。
また、暖房用の温水配管も床断熱より基礎断熱の方が熱ロスが少ないので冬の光熱費に影響します。


パネルヒーター完備でヒートショックを防ぐ配慮を

Q:よくありがちなお風呂場が寒いとか、トイレ、玄関が寒いというのはないのですか?

断熱をしっかりやると、玄関空間が寒いというのがなくなります。
家を引き渡した後に住まい手さんから聞くのは、ご近所さんが来て玄関を開けた瞬間フワッと暖かい空気を感じるので「この家は、全館床暖房なんですか?」と聞かれるらしいのですが、
「いえいえ、そもそも床暖房はまったく入れてないですよ」と言うと驚かれるそうです。

先ほど説明したパネルヒーターは基本的に玄関や脱衣所にも付けます。
要するにヒートショックリスクの高いところ、風呂場自体はなかなか難しいですが、各部屋の窓下に入れるのを基本としています。
冷気が入る窓付近と、必要な場所に配置することによって家の温度を一定に保つようにしています。
実際、稼働している温水の温度も30~35度でタイマー運転で1日6時間くらい動かしているだけなので、灯油も思ったより少なく済みます。

多少安全を見て建て主さんには月1万円もかからないと話すのですが、実際には先ほどもお伝えしたように8万円で済むことがほとんどなので、建て主さんには喜ばれます。
だからご近所で家を建てた人とそういう話をすると、すごく羨ましがられるそうです。
断熱のしっかりした家を建てるメリットを、今後も実例とともにご紹介しながら広めていけたら、と思っています。