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Architects

井上玄

株式会社 GEN INOUE

〒231-0032横浜市中区不老町1-1-1 守谷ビル5F
045-489-6617
https://architect.bz/

1979 年 神奈川県生まれ
2001 年 東海大学工学部建築学科 卒業、卒業設計 TD 賞
     JIA 神奈川卒業設計コンクール銅賞
     吉田研介建築設計室 入社
2010 年 一級建築士事務所 GEN INOUE 設立
2012 年 神奈川建築コンクール優秀賞受賞 ( 法面庭の家 )
2013 年 株式会社 GEN INOUE へ改組、東海大学建築学科非常勤講師
2019 年 照明学会 審査委員特別賞受賞、Sky Design Awards ショーリスト入選
    (山のセカンドハウス)
2020 年~ 旭トステム外装のサイディングのデザイン及び販売コンサルティング業務
2021 年~ 関東学院大学建築・環境学科非常勤講師


受賞・掲載等
・「3 つの庭」がある家:「I'm home」2022年7月号掲載
・囲い壁の家:「住まいの設計」2021 年 8 月号掲載
・山のセカンドハウス:「I'm home」2022年9月号掲載、「CREA」2020年9,10月号掲載、「OCEANS」2020 年 8,9 月号掲載、「I'm home」2020年1月号表紙掲載、「Architecture & Culture 」2019年11月掲載、照明学会 照明デザイン賞
・審査員特別賞受賞、Sky Design Awards ショーリスト入選、「渡辺篤史の建もの探訪」2019年7月放映、「PEN」2019年7月号掲載、「モダンリビング」2018年11月号掲載、新建築社「住宅特集」2018年9月号掲載 、
・大屋根が繋ぐ SOHO:「I'm home」2021年9月号掲載、扶桑社「Designhouse Ideabook Best32」2021年3月掲載、「住まいの設計」2019 年 12月号掲載、「渡辺篤史の建もの探訪」2018 年7月放映
・お隣と共有する「第 2 の GL」をもつ家:新建築社「住宅特集」2016年10月号掲載
・ゾーンスキップフロアの家:「渡辺篤史の建もの探訪」2014年2月放映、TV東京「完成 ! ドリームハウス」2013年1月放映
・法面庭の家:第 56 回神奈川建築コンクール住宅部門 優秀賞受賞、新建築社「住宅特集」2012年2月号掲載、「Lives」2011 年 6,7月号掲載

Works

の作品

Interview

インタビュー

Q:建築家として、得意としているところを教えてください。

「提案力」だと思います。
例えば、間取りやファサードなどの外的なデザインよりも、家を建てる土地や周囲の環境を考慮したトータルなご提案を心掛けています。
既成概念にとらわれない提案が得意なので、皆さん、そこに魅力を感じてオファーをしてくださるのだろう、と感じています。

私達がデザインした家は特徴があるものが多く、雑誌やテレビなどに取り上げていただくことが何度かありました。
それを見たお客さんから問い合わせをいただき、この12年間で木造が8割、RCと鉄骨で2割、合計40軒くらい設計しています。


地域の魅力を引き出した新しい住まいの〝カタチ〞

Q:逗子市に根付いた活動もなさっているそうですね?

6年前に横浜から逗子に移住してきました。
自分の実体験も踏まえ、土地探しからの家づくりというものを、コロナをきっかけに始めています。
逗子・小坪といった小さい単位で、まちの魅力(個人商店や暮らしなど)を紹介する冊子を1年くらい前に自費出版で発行し、配布しています。
移住してくる人が、「逗子に移住しよう」ではなく、「逗子の小坪に移住しよう」と思ってくれるといいなと思っています。

『FROM HOME TOWN』ということで、現在、Vol.2「逗子市新宿から」を出そうとしています。
小坪と新宿それぞれのまちの違いを知り自分にあったまちに移住するきっかけになればと思っています。
住宅の設計においてこだわっているのは、最初から形式ありきで考えないこと。
例えば建主との初回のヒアリングで「子供部屋は何部屋必要ですか」と質問をしてしまうと、既成概念に沿った要望しか返って来なくなってしまいます。

それよりも、建主の暮らし方や将来のライフスタイルなどを伺い、そのイメージを共有することを大切にしています。
最近では、庭でバーベキューをしたいというご要望も増えたので、理想の暮らし方を実現する戸建てならではの空間を提案しています。

また、コロナになってからはソーホーとか住宅プラスαの需要が増えています。
住宅の一部を近所の子供たちに開放するスペースとして公共性をもった空間をつくるなど、プラスαを持つ家がこれからの新しい暮らしを受けとめることが出来るのだと思います。


建築のカメラマンとしての活動が設計にもプラスに

Q:建築のカメラマンとしても活動されているそうですね。建築家として何かプラスになっていますか?

はい。一級建築士としての仕事以外にも、建築物の写真を撮るカメラマンとして、他の建築家の設計したものを撮りにいっています。
他の建築家の実物を見る機会が多いことは設計に役立っています。
家の写真を撮りながら建築家にインタビューするので、制限がある中での工夫や苦労を知ることは、すごく面白いし参考にさせてもらっています。

また、腕のいい施工者と知り合うきっかけにもなっているので、僕は優秀な工務店を数多く知っていると自負しています。
あと、僕は家を建てた後も建主とのお付き合いが長くて、建主からの紹介の仕事が増えています。それは、空間のイメージを押しつけないからだと思っています。
専門家でしか提案出来ない空間構成などを具体的に提案することを大切にしているからだと思います。
今までの建主の年代も建物の金額帯も幅が広くて、70代の方の1億円を超える別荘であったり、3000万円以下の狭小住宅だったり、若い方もいれば、お歳を召した方もいらっしゃる中で、
様々な考え方にふれ、相手のチャンネルに切り替えられることが、得意なのだろうと思います。

このように建主と早い段階で信頼関係を築いているので、提案は1案のみ出すケースが多いです。もちろん最終的に1案に絞るまでは複数案考えるのですが、図面や模型をばっちりつくって提案するのは1案が多いです。もちろん建主のタイプによっては、2案出して建主に選択肢を提示するケースもあります。
特に2軒目の家や別荘を建てる建主など、何度か設計者とやりとりをしたことがある方、
ご自身の会社での立場や職業によっては自分で選んで決めていったほうがスムーズに進むケースが多いです。
このような場合は2案を出して、「こういう理由でこっちのほうがいいと思います。いかがですか?」という聞き方をしています。

やはり漠然と「どうしますか?」という聞き方をするのは、建主も迷ってしまうと思っています。
2案出して、「僕はA案のほうがこのような理由でいいと思います」と説明すれば、建主も判断しやすいし仮にこちらで勧めた案が気に入らないときは、
逆に建主のこだわりを理解できるので、そこを改善して再提案することで、建主の希望により近い形になると思っています。


本来家とは、ライフステージに合わせて家を変えていくべき

Q:住宅の設計でもっとも意識している点を教えてください。

一番考えるのは家族構成が変化していくことです。
例えば、お子さんがいると、子どもが何歳なのかによって、家族にとっての家の大きさや役割りは変わってきます。
要するに子どもが小さい頃は、子どもと一緒に家にいることが多いので、家の在り方としてはあまり個室は必要なく家族が集える大きな部屋があれば良いのかも知れません。
子どもが中学校、さらに高校になると子どもも含め個人の時間や空間が重要になるのと同時に、子どもは昼間ほとんど家にいなくなり、
成人するともうほとんど家に帰ってこないケースが多くなります。

本来はこのように子どもの成長や家族のライフステージに合わせて家を替えていけるぐらい、柔軟であるべきだと思っています。
それは、2人分の子ども部屋の間仕切りを取るための修繕をするレベルの話ではなくて、将来、子どもが成長して家族の在り方が変わってくことにコミットした家が必要だと思っています。
そうするとお金のかけどころも変わっていきます。
何LDKという形式も、子どもたちが独立するとその暮らしには合わなくなってしまいます。
それなのに、そのLDKという形式にあてはめて家づくりをしてしまうのです。
既成概念にとらわれず建築家の提案に期待し、家づくりの考え方に対して少しでも柔軟になっていただき、信頼できる建築家をパートナーとして見つけられると、
より理想的な家づくりになるのだろうと思っています。