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Architects

峯川航

KOTATSU+

〒151-0051東京都渋谷区千駄ヶ谷3-2-8 第12宮庭マンション 603
03-6455-4812(FAXのみ。お問い合わせはHPより)
https://kotatsuplus.myportfolio.com/work

一級建築士 大臣登録第354370 号
イッキュウケンチクシジムショ 登録 東京都知事登録59460 号

峯川航
ARCHITECT
一級建築士事務所KOTATSU+主宰
インテリアデザイン、建築設計、空間スタイリングを手法とし、クライアントの世界観を唯一無二の形にすることを第一義とした空間デザインを得意とする。
茶の湯の世界創造を理想郷と考え、空間設計だけではなく、室と礼が真に融合した世界観の構築をビルディングタイプ、ジャンルを問わず追求する。

▼略歴
一級建築士事務所 KOTATSU+ 所長
2003年神戸芸術工科大学卒業
2005年京都府立大学大学院修了
同年、タカラスペースデザイン株式会社に入社。
その後KAMITOPEN一級建築士事務所経て
2012年KOTATSU Design Office 立上げ
2014年
乃村工藝社を出た、安藤達哉、佐藤宏尚一級建築士事務所を出た、中家淳
とともに、一級建築士事務所KOTATSU+ 開設
建築×DESIGNを手法とした、空間デザインや、室礼開発、世界観づくりを、幅広い分野で行っている。

▼受賞歴
JCD Design Award (日本商環境デザイン協会)
銀賞受賞 1回
best100 5回入選

▼仕事歴
・古民家農家オフィス(古民家リノベーション)
・Y HOUSE(個人邸)
・オニツカタイガー (全国店頭ディスプレイデザイン)
・THE JOUNEY (銀座エステサロン店舗デザイン)
・星野リゾートグループ「界」伊東リニューアル計画に参画
・上野毛リノベーションショールームカフェ カミノゲンバ (店舗デザイン)
・舘山寺温泉山水館欣龍お食事所回収計画
・K_HOUSE(個人邸)
・ADAN RESORT (沖縄ヴィラ計画)
・VILLA SPECIALE (沖縄ヴィラ計画)

▼受賞歴
JCD Design Award (日本商環境デザイン協会)
銀賞受賞 1回
BEST100 5回入選。

Works

の作品

Interview

インタビュー

Q:最近、機能性、デザイン性に優れた住居の建築を土地探しからお手伝いされたそうですね。

2つの土地を迷われていたのですが、それぞれの土地に対し予め仮想のプランを2案ずつ計画し、土地の可能性を施主様と一緒に検討した上で土地を決める、
というプロセスを経てこの場所に家を建てることになりました。難しかったのは土地の真正面に山の斜面があったことです。

入念な調査を行ない安全を確認した上で、斜面、周囲の自然、景色を全て活用しながら機能を納めていくと、山側から見ると平家、道路側から見ると2階建ての計画となりました。
施主様ご夫婦は旦那様がWEBデザイナー、奥様がファッションデザイナーというクリエイターご夫婦です。
「こういうデザインの家に住みたい」という細部にわたる要望を明確にお持ちでした。

それらと土地の条件、気密や断熱などの機能性をどのようにしていくか、すり合わせを行いながら家づくりを進めていきました。
建物ページでも紹介したように、この住居の空間構成の特徴は、リビングを中心として中央の通路空間を挟みながら回遊するように部屋の配置をしたことです。
廊下を単なる通路としてではなく、幅を広げそこにハブとなる中間領域を生み出すことで、家全体の繋がりをつくる、というのがこの家の基本コンセプトになっています。
視線の繋がりや家族がどこにいても気配を感じることができること、家の中を通る空気の流れ、周囲の自然環境との接続、
それら全てを総合的に実現することを考え、かたちにしていきました。


断熱材の内側に気密シートを張ることで、C値を高キープ

Q:気密、断熱に関してはどのような工夫をされていますか?

施主様は、「末代」まで使い続けられる家を目指されていて、住宅性能や、最新のIoTなど、今住宅で考えられるあらゆる要素において、高い理想をお持ちでした。
断熱に関しては、家全体に断熱材のアクアフォームを使用しています。複雑な空間構成の家で大開口もあるため、気密の確保が難しい家だったのですが、気密シートを張ることなどでC値は概ね1に近い値になっています。リビングには大きく開閉できるヘーベシーベのペアガラスの窓を採用して気密性、断熱性をキープしています。


リノベーションはその家が持つ本来の良さを生かして再生

Q:古民家の断熱リノベーションの事例もあるそうですね。

古民家の断熱リノベーションについては、これまでに2軒ほど手がけました。中でも三重県伊賀市にある木造の古民家の改修は、デザインにも注力した1軒です。
伊賀市は冬場気温が冷え込む地域で、施主様からは寒さを軽減する処置を求められていましたが、古民家ならではの良さを生かすため、
ペアガラスによる木製窓を用いることで、機能性と古民家のたたずまいを両立しました。

壁や床、屋根に断熱を施し、特に滞在時間の長い箇所には床暖房も導入し吹き抜けにはシーリングファンを設置しました。
そのほかには、古民家特有の土が盛られた二重天井を取り除いて軽量化を図ったり、入っていただいていた宮大工さんの手で傾いた構造体の建起こしを行ないました。
古民家は年月が経つにつれて、軸組がずれてくることがあります。そのため、建物が少し傾くことも往々にしてあります。

状態のいい古民家であれば、柱も梁も狂いなく建っていることもあるのですが、傾いていると地震により弱くなってしまうため、建て起こして固め直す作業を行ないました。
このような場合、戸建てメインの大工さんでは、技術や経験を持ち合わせていないため、宮大工や古民家改修経験の豊富な大工さんに入ってもらうことになります。
改修したこの家は、もともと3つの棟と1つの蔵からなる古民家で、棟がつながるように建っていたのですが、
棟ごとのコンセプト計画を基にそれぞれの棟に必要な住宅機能を追加していきました。
大広間のある本家屋では、この広間を眺められる位置にLDKを配置しました。

現代の住宅では一般的に北側にLDKを配置することが少ないのですが、ガラスの瓦を入れることで、日光の入りにくい北側でも非常に明るいリビングを実現することができました。
たくさんのお客様がいらっしゃる時にはそこで団欒をしたり、中庭のテラスと一体利用することができます。
大切なお客様は蔵に作ったバーで音楽を聴きながら特別な時間を過ごすこともできます。
古民家であるということによる風格や重ねてきた時間が、新しいデザインや機能と相まり、新旧が融合して初めてできる住まいとなった、私の自信作です。


家づくりを考える時、後世のことも考えてみる

Q:高気密・高断熱にこだわる人は多いのでしょうか。

最近、高気密・高断熱などの住宅性能をご自身で勉強して相談に来られる人も少なくありません。
先に述べた、WEBデザイナーの施主様は、いざ〝自分が住む家〞について考えた時に、それはスタイリッシュなだけでなく、日々の快適さだったり、自分が想いを込めて建てたものが後世まで残り、子供の世代へと委ねていくことまでを、思い巡らせたと話してくれました。

施主様が家づくりを通して何を考えられているかを見つめ直した時、私も施主様に向き合い、あらゆるものを最大限活用して、最高のパフォーマンスを出そうと心に決めました。
ジャンルこそ違いますが、同じデザイナーという仕事をしている者同士、気持ちが通じるところも多くありました。
施主様との対話が楽しくもありながら、私自身、〝家〞というものに対してこれまでで一番向き合ったタイミングだったかもしれません。

家づくりにおいて私達は、今この瞬間に世の中にある、住宅に関する知識、技術、情報を可能な限り学んだ上で、
クライアントにとって一番良い選択肢を形にするという感覚を大切にしています。
もし、クライアントが諦めざるを得ないようなポイントが例え一部あったとしても、その検討のプロセスも含めて向き合い、完成した家は、妥協なき理想の家になる、と私は信じています。
そんな言葉で言い表せない感覚的なことも、環境や性能も、落とし込んで形にする。ここに家づくりのおもしろさがあるように感じています。


後世に残していくためのものづくりを

Q:どのような想いで家づくりに臨んでいるのか、お気持ちを教えてください。

私も高気密・高断熱をしっかり理解した上でクライアントに説明していきたいという思いがあります。
この仕事を通していただいたご縁や、これまでの自身のものづくりを振り返れば、後世に残っていく家づくりとは、環境を含めあらゆるものを考慮し、住む人の一番は何かと想いながら細部にこだわり、その中で美しさやあたたかさも忘れない、そんなものづくりであろう、と私は考えています。

〝愛され残っていくものづくり〞をテーマとして念頭に置いた上で、想いを形にするという建築家本来の使命と、性能を理解して技術を駆使することの両方を実践しながら、
これから事務所を訪れてくださる方にとっての唯一無二の理想を形にしていきたいと思っています。