tel

Architects

滝川 博之

株式会社 アーキスタジオ

〒165-0024 東京都中野区松が丘2丁目12-14
03-5860-0070
https://archi-st.co.jp/

一級建築士 国土交通大臣 登録233541号
JIA 公益社団法人 日本建築家協会 正会員
東京建築士会正会員
財団法人 建築・省エネルギー機構 CASBEE建築評価員
東京商工会議所会員
建築士賠償責任保険加入済
1990年 東京芸術大学 大学院 美術研究科 建築専攻卒業
兵庫県神戸市 須磨で生まれる。
小学校卒業とともに家族で上京。

法政大学で経済を学ぶ。
4年生の時実家の建て替えに際し、間取り図やパースを書く。大工さんにプロ並みと褒められる。
自身の考えた空間が実現し、その中で生活する経験に触発され、建築家を目指す。

工学院大学(伊藤ていじ研究室)にて建築を学ぶ。
建築史家 伊藤ていじ先生に師事し、中間領域(縁側空間のような、内でも外でもないような空間)のあり方を日本と世界の民家を通した比較研究で卒業論文して行う。
中間領域のあり方は、風土や社会のあり方に影響され様々に変化しますがあらゆる民家に存在します。現在、住宅や集合住宅を設計する上でもこの視点で、検討することも多くあります。

黒川雅之建築設計事務所
当時、安藤忠雄と並びRC(打ち放し)の設計に定評のあった事務所。
RC打放し(鉄筋コンクリート打放し)のマンション2棟や大規模な工場の設計を担当。RC打放しの設計手法について多くを学ぶ。

野沢正光建築工房
大学時代の恩師でもある野沢先生の事務所では、パッシブソーラーを利用した住宅や、地区会館の設計に携わる。また、RC外断熱の要素を実験的に取入れた住宅の設計を担当させていただく。

東京芸術大学 大学院に入学。 環境設計(茂木 計一郎先生)の研究室にて学ぶ。
都市計画ほどは広域ではなく、建築とそれを取り巻くコミュニティーぐらいのスケールでの建築とそれをまく環境のあり方を研究する。
東京芸術大学と云うと、奇抜なデザインが推奨されているように一般的には思われ勝ちですが、実際はその逆で吉村順三先生に始まり、生活者を大切とらえた設計、また、温熱環境について配慮し、熱の流れをデザインする設計を教える歴史が受け継がれています。

アーキスタジオ設立。
大学院卒業ともに、設計事務所設立。
商業ビルなどと並行して、住宅や集合住宅の設計を行う。

民家の研究、コンクリート打ち放しの設計、RC外断熱の設計、そしてパッシブデザインと気が付けば、すべてがつながり今に至っています。
建築の設計が、ますます、楽しくなってきています。少しずつ独自の手法も確率されてきました。
パッシブデザイン・サスティナブルデザインをとおして、クライアントのみならず、社会に貢献していきたいと考えています。

Works

の作品

Interview

インタビュー

Q:RCの外断熱に取り組まれたきっかけは何ですか?

最初のきっかけは、勤めていた事務所でRC住宅の担当になったのがきっかけでした。
当時はまだ、断熱に対する考え方が今ほどではなかったのですが、RCの内外打ち放し住宅で、外断熱を部分的に取り入れた設計でした。
その後、アーキスタジオを開設してから外断熱に取り組み、徐々に今のスタイルに到達しました。
コンクリートの特性を活かすには、中は打放しがいいとか、高い性能があるので太陽の熱を取り込んで利用しようとか、
RC外断熱の長所を伸ばすように取り組み続け今の形ができた感じです。

今もブラッシュアップし続けていますが、弊社で手掛けた住宅の7割ぐらいがRC外断熱です。
木造、S造では、高断熱と気密そして蓄熱に配慮してRC外断熱に近い快適な室内環境を実現しています。
また、基本的にはアトリウムで取り込んだ太陽熱を利用する設計になっています。
まだまだ日本でRC外断熱は一般的ではありませんので、私のところにオファーをしてくださったお客さんは、
ご自身でいろいろ調べ、弊社のwebに苦労してたどり着いてきてくれた分、話がよく合うというか、長いお付き合いになるケースが多いですね。
遠隔地など初めてのエリアで外断熱の経験がない施工業者さんでも、施工上の要所、注意点は私が熟知していますので問題なく対応できています。


空調機と循環機で空気を家中に回し、輻射熱効果でお部屋を快適に

Q:家の機能性をアップさせるポイントはありますか?

設計する際にはいろいろな検討項目がありますが、難しい条件であっても、デザインに
して納めるのが建築のデザインの基本だと思います。そもそもパッシブデザインというのは特別なものではなく、風や光を建築に織り込んでいくのは当然のこと。
大変ではありますが、考えていけばどこかに必ず答えは出てくるものです。
建築の面白いところは、矛盾するような相反することも見方を変え工夫すれば、長所になるところです。

1+1=2のように決まっているわけではないというところに建築の面白さと魅力があります。
断熱性能と気密性を確保しているので、基本的には、床暖房をつけなくても、足元が冷えることはありません。
壁掛けエアコンと空気を循環させる仕組み、それに太陽の熱を利用すれば、省エネで快適な室温を維持できるのです。
常に空気を循環させていると建物全体がムラなく温まり、壁や床、天井も暖まっていきます。
RC外断熱の場合はコンクリートの躯体が蓄熱体になり、躯体から輻射熱の効果が出てくるので、
通常よりは室温を上げなくても(あるいは下げなくても)快適に生活できるという仕組みです。
断熱と気密そして蓄熱、これらの性能を高くして、空気を循環させていると足元が冷えることがなくなるので床暖房を入れる必要がなくなるということです。
空調機で熱を回しているので、輻射熱の効果を考えると、冬は室温22°Cでも寒くはないです。

当社の社屋(兼自邸)の室温をモニタリングしているのですが、この建物には5階と地下階に空調機があります。
夏期は空調機の設定を26°Cに設定。
この2台を稼動させています。
階ごとに26°C~28°Cの温度差がありますが、各階においては1日の室温の変化がほとんどありません。
冬の設定温度は22°Cです。21°Cから23°C程度で室温が安定しています。
アトリウムの太陽の熱を地下階に送り込んで畜熱させていることもあり、他の階より暖かくなっています。
このようにRC外断熱の住宅の室内環境は、室温が昼も夜も安定しており快適な生活を送ることができます。

Q:外断熱への取り組みについてお聞かせください。

冒頭でふれましたが、最初に外断熱的な設計を担当したのは、勤めていた設計事務所でした。そこで外断熱の存在を知りました。
外断熱にすると、コンクリートが蓄熱体として利用できるというメリットはとても大きいと思います。
蓄熱の効果で、1日くらい空調を止めても部屋の温度は大きく変わらないので、すごく安定した室内環境になっているということです。
外断熱の設計をさらにグレードアップさせるために、家を建ててからも室温や温度をリサーチしています。
今現在も各部屋の室温をモニタリングさせていただいているお宅もあるのですが、その計測システムは施主さん自身がおつくりになったものです。
私もインターネット経由でモニタリングさせていただいています。
また、この社屋(兼自邸)もその計測システムを使わせていただいています。
空調機を増設し、温度設定や稼動方法を変え、消費電力がどのように変化するか、体感と合わせたモニタリングを行い、今後の設計に活かしていきたいと考えています。
パッシブデザイン協議会が発足した当時は、いち早く事業者認定を取得しました。
現在も新たなパッシブデザイン・シミュレーションソフトを活用して省エネ効果を客観的に評価しています。

Q:戸建て、マンションの断熱リノベの一例を教えてください。

木造のリノベーションをした際、真ん中に大きな丸いホールをつくりまして、その周りにリビングとかダイニングなどを配するプランにリノベーションしました。
丸い円形のホールの壁が耐震補強の効果も担っていました。そして、屋根面で受けた太陽の熱を集め天井裏に仕組んだファンでこのホールの床下に送り込むように設計しました。
既存の四角い家屋の中に丸いホールを挿入してモンゴルのパオのような空間をつくったわけです。
ホールは天井を高くし上部は円錐形にして先端をカットしています。カットした丸い穴の部分から空が見えるようにしています。
全ての動線をこのホールに向くように設計しています。
そして太陽で暖められた空気もここに集まり床が温まる仕組みになっています。
動線の要で、空は見え、床が暖かい、とても快適な場所なので、自然に家族が集まり施主さんにはとても喜んでもらっています。
また、サーキット場の観覧場や商業ビルなどいろいろな建築を設計しています。
事務所を開設して30年になりますが、どの建物も全て健在で大切に使っていただいています。
建て直しになったものがないことは、自慢してもいいことかと思っています。
一つの要因としては、経年しても建物が長く使えるようにディテールを慎重に考えていることがあると思っています。
今、多く手がけているRC外断熱の建築はコンクリートが劣化しにくいので、今までの経験を活した設計で、さらに長く使い続けられる建築にしたいと考えています。


家づくりは未知な世界。納得いくまで質問してほしい

Q:家を建てたいと考えている読者の方にアドバイスをお願いします。

お客さんとの打ち合わせを大切にしたいと考えています。
家を建てるというのは普通なら一生に一度しかないことなので、お客さんにとって未知なものに取り組んでいくことになります。
納得いくように進めていくために、どんなに些細なことでもよいので、疑問や質問、要望を建築家に伝えてほしいと思っています。
そうして楽しく夢を持ってつくる、でき上がってその家に住んで幸せになるようにお手伝いしているつもりでやっています。
一度、完成した設計図を見ながらも、もっとよくならないか考え続けています。