ホーム

>

住まいづくりを考えるブログ

2026/02/03住宅性能全般

住宅価格高騰時代でも損しない家づくり ―「安かろう悪かろう」を避け、後悔しない判断をするために―


「最近、家の値段が本当に高くなったと感じる」

こうした声を、相談の現場でも非常によく耳にするようになりました。

実際、住宅価格はこの数年で急激に上昇しています。
一時期話題になったウッドショックは落ち着いたものの、円安の影響もあり、住宅設備や鉄骨などの資材価格は高止まりしたままです。

さらに、建設業界全体で職人不足と高齢化が進み、人件費も上昇しています。

つまり、住宅価格の上昇は一時的な現象ではなく、構造的な問題になりつつあるのです。

住宅購入を検討するうえで、まずはこの現実を正しく理解することが、後悔しない家づくりの第一歩になります。


住宅価格はどれくらい上がっているのか



国土交通省のデータを見ると、首都圏の注文住宅の建築費は、令和元年と比べて令和5年には45%以上上昇しています。

特に建築費単価の上昇が非常に大きくなっています。

これは、数字以上にインパクトの大きい変化です。

たとえば、数年前に3,000万円で建てられた住宅と同程度の性能・仕様の家を今建てようとすると、4,500万円前後になるケースも珍しくありません。

「同じ家なのに、なぜこんなに高いのか?」

そう感じるのは当然ですが、先ほど述べたように、資材・人件費・物流コストなど、複数の要因が重なっているため、簡単には元に戻らないと考えるのが現実的です。

坪単価の上昇と「数字の罠」



現在の注文住宅は、全国平均で坪単価135万円台が一つの目安になっています。
2015年頃は60〜70万円台だったことを考えると、短期間で大きく上昇したことが分かります。

ただ、注意したいのは、「坪単価」という言葉そのものです。

実は、この坪単価には明確な統一ルールがなく、会社によって含まれる範囲が異なります。

本体工事だけの金額を示している場合もあれば、付帯工事や設備費が別になっているケースもあります。

そのため早い段階で、「最終的に住める状態にするまで、総額でいくらかかるのか」を必ず確認する必要があります。

ここを曖昧にしたまま工務店・ハウスメーカーを決めてしまって話を進めると、

「思っていたよりものすごく高くついた」

という事態になりがちです。


建てられる人と建てられない人の差が広がっている



住宅価格の上昇により、住宅取得は確実に二極化しています。

親からの援助や十分な自己資金がある人、あるいは価格上昇を理解したうえで早めに行動できる人は、まだ選択肢があります。

一方で、年収400〜500万円台の一般的な所得層では、借入可能額と希望する住宅の間に大きなギャップが生まれています。

ただ、注意が必要なのは、「もう少し様子を見よう」と判断してしまうケースです。

価格も金利も上昇傾向にある中で、様子見を続けると、結果としてもっと手が届かなくなってしまう可能性が高いのです。

焦って決めるべきではありませんが、現時点で手が届くのであれば、早めの決断も必要な状況にあるといえます。


「安かろう悪かろう」が最も損をする理由



価格が高騰すると、「少しでも安く建てたい」という気持ちが強くなります。

しかし、この考え方には大きな落とし穴があります。

たとえば、断熱性能が低い住宅では、冷暖房効率が悪く、毎月の光熱費が1〜2万円高くなることがあります。

これが30年続けば、それだけで数百万円の差になります。

さらに、安価な外壁材や屋根材を選ぶと、10〜15年ごとに塗り替えや補修が必要になり、1回あたり100万円前後の費用が発生することも珍しくありません。

建築後にこの費用を惜しむと、資産価値が大きく目減りしたり、老後に差し掛かる頃に住み続けられない状態まで劣化が進んでしまったりします。

初期費用を抑えたつもりでも、住み続けるほど支出が増えていく構造の家にしないために、ランニングコストも見据えた家の性能を確保することが重要です。


家づくりは「トータルコスト」で考えるべき理由



家づくりでは、どうしても建築費(イニシャルコスト)に目が向きがちです。

しかし、本当に重要なのは、光熱費・修繕費・設備更新費・住宅ローン利息まで含めたトータルコストです。

これはよく「氷山」に例えられます。

水面に見えているのは建築費だけで、その下には長期間にわたるランニングコストが隠れています。

仮に、最初に300万円多くかけて断熱性能を高めたとしても、30年・40年というスパンで見れば、十分に回収できるどころか、実は住宅ローンの支払い増よりも冷暖房光熱費の削減額の方が大きく、初年度から特になるケースも多いのです。

重要なのは、計画時に冷暖房光熱費のシミュレーションを鑑みながら仕様を決めていくことです。


最も効果が大きいコストダウンは「床面積を減らす」こと



実は、最も分かりやすく、かつ効果の大きいコストダウン方法は、床面積を減らすことです。

坪単価100万円の時代では、3坪減らすだけで建物で300万円の削減になります。

さらに、必要な土地面積も小さくなるため、土地代も抑えられ、合計で600万円前後の差が出ることもあります。

「家を小さくすると、住みにくくなるのでは?」

そう思われがちですが、高気密・高断熱住宅では事情が異なります。

室内の温度差が小さく、冬でも厚手の布団や暖房器具が不要になるため、収納スペース自体を減らすことが可能になります。

4人家族であれば、25坪くらいから快適な家にすることも可能です。

コンパクトな間取りの設計が得意な工務店にぜひ相談してみてください。

 

設計の工夫で、性能を落とさずコストを抑える



建物の形状は、コストと性能の両方に大きな影響を与えます。

凹凸の多いデザイン住宅は、一見おしゃれに見えますが、外皮面積が増え、断熱性能的に不利になります。

また、雨漏りリスクが高まるだけでなく、単純に施工手間が増えるため、コストも上がります。

さらに、間取りを考える際には、構造(直下率)を意識することが重要です。

直下率とは、1階と2階の構造壁や柱が直下にある率を言います。

直下率を考慮しない構造を無視したプランは、プラン確定後に、耐力壁の追加など、構造面で余計な費用が発生する可能性が高くなります。

間取りのプランニングの段階で、構造に考慮しながら進めることがコストダウンにつながります。


窓と換気は「コスパ」を大きく左右する要素



窓(窓基礎編、窓上級編参照)は、住宅性能とコストの両面で非常に重要な部位です。

特に、開閉しないFIX窓は、気密性が高く、価格も抑えやすいという特徴があります。

高気密・高断熱住宅では、実際に暮らし始めると窓を開ける頻度は想像以上に少なくなります。

そのため、「本当に開ける必要がある窓かどうか」を見直すことが、コストダウンにつながります。

換気システムについても同様です。

第一種換気(ダクト式)は高性能ですが、イニシャルコスト・更新コストともに高くなります。

コストバランスを重視するならば、第三種のダクト式換気も選択肢として有効です。





ただし、第三種のダクトレス方式だけはお勧めしません。

第三種のダクトレス方式は、一般的にはパイプファンが用いられます。

パイプファンは、シロッコファンに比べて、排気能力が弱く、強風時などは、風が逆流してくることもあります。

つまり、計画換気が機能しないのです。


土地選びも「建築コスト」まで含めて考える



土地の価格だけを見て判断すると、後で想定外のコストが発生することがあります。

一方で、たとえば、旗竿地は同じ立地条件でも15%程度安く購入できることがあります。

また、防火地域・準防火地域かどうかによって、建築費は大きく変わります。

旗竿地は、採光面で難があることが多いのですが、例えば、LDKを2階に持っていき、差し掛け屋根にして、上部の壁面に窓を設けることで、明るいLDKにすることも可能です。

設計の工夫次第で、旗竿地の欠点は補えることもあるので、土地選びの際に、工務店と相談しながら検討することをお勧めします。




土地は、契約する前に、必ず工務店と一緒に確認し、ざっくりのプランニングや建築コストへの影響を見極めたうえで購入することが重要です。

この時点で、工務店を決定している必要はありません。
有力候補の工務店と親しくなっておけば、契約前でも土地を見て、建てる側からのセカンドオピニオンを提供してくれるはずです。

工務店・ハウスメーカー選びで外してはいけないポイント



最後に、住宅会社選びで最も重要な視点は、全棟で気密測定を実施しているかどうかです。

どれだけ高断熱をうたっていても、気密性能を確保していなければ、バランスを欠く住宅になってしまいます。

気密性能は、設計図から計算で求めることはできず、現場での気密測定をしていなければ分かりません。

まして、断熱等級6以上にするならば、気密測定は必須と考えてください。


まとめ|価格高騰時代こそ「判断軸」が重要



住宅価格が上がっている今だからこそ、「安さ」ではなく「価値」で判断する姿勢が求められます。

性能に正しく投資することは、快適性・健康・家計を長期的に守る選択です。

もし、「この仕様で本当に大丈夫なのか?」

と少しでも不安を感じたら、第三者の視点で確認することをおすすめします。