吉田立
リツデザイン一級建築士事務所
〒220-0042 神奈川県横浜市西区戸部町7-218-5
045-595-9043
https://www.ritsu-design.com/
リツデザイン一級建築士事務所 代表/一級建築士・応急危険度判定士
1972年生まれ、神奈川県出身。
工学院大学都市建築デザイン学科卒業後、神奈川県の住宅会社、株式会社秋田設計一級建築士事務所での勤務を経て、2001年リツデザイン建築設計事務所を設立。
一般社団法人田園都市建築家の会所属。横浜市のまちづくりに参画するなど、地域に根ざした活動も行う。2019年より工学院大学非常勤講師も務める。2011年(財)かながわ住まいまちづくり協会主催住まいのバリアフリーリフォームコンクール審査員特別賞受賞、2014年リノベーション・オブ・ザイヤー総合グランプリ受賞など多数。
共著として『これからの住宅をデザインする方法』(エクスナレッジ)。
Works
の作品
Interview
インタビュー
基本的に、何でも話せる関係性を築くことが大切だと思っています。
例えば、建築家が提案したことに対して、施主の方にも、「それは違う」「こういう場合はどうか」と、考えていることや感じたことを、垣根をつくらず話してほしいです。
家づくりの過程から疑問点を解消しておくことで、住んでみてからの満足度は大きく異なってくるはずなんです。
検討した結果、それが一周回って第一案に戻ったとしても、壁が5㎝動いたとか、ドアを数ミリだけズラしたなどの非常に些細なことであったとしても、
その小さな差が後に、実際に住んでみて満足できる家かどうかに深く関わってきたりします。
ですので、当事務所では施主さまから忌憚なく意見を吸い上げること、気になる点などがあれば遠慮なく話してもらうことを大切しています設計の時点でできることや模型の
上でできることは、すべてやり切りましょうというスタンスで家づくりに向き合っています。
建築家は家づくりにおける〝代理人〞
Q:土地探しから一緒に行うとうかがいましたが、それはなぜですか?
一般的には、施主さまが土地を決めた後に建築家に家づくりの相談をする―という流れだと思います。
しかし当事務所では、極力、土地を探すところから一緒に進めていくのが特徴です。
つまり、家を建てる前段階から私たちの仕事は始まっているんです。
〝土地を探すこと〞自体が家づくりの計画のひとつなので、基本的には住まいづくりにおけるすべての工程に建築家が関わる、そんなやり方を取っています。
また家を建てると言うと、新築のイメージが強いようですが、私たちは必ずしも新築である必要はないと思っています。
中古戸建や中古マンションを購入してリノベーションするなど選択肢は他にもあります。
もちろん施主さまの要望によっては、賃貸併設住宅や新築マンションの建設を提案することもあります。
住宅を求めている人がどのような暮らしをしていきたいか、あるいは理想としているかを主眼に置くことでも変わってきます。
もしハウスメーカーに家づくりを依頼した場合は、見積もりもプランもすべて施主さまが判断しないといけませんが、その判断はかなり難しいですよね。
多くの方が、〝自分の暮らしぶり〞については熟知していても、建築のプロではありません。
自分が目指す家づくりにその素材が適切なのかどうか、新築なのか中古住宅なのかリノベーションなのか。
そのすべてを自分で判断するには、それなりに勉強をしていないと間違う恐れがあります。
だからこそ、建築家は施主さまの代理人として判断するために存在しているのだと思います。
建築家は、理想を実現するために材料やデザインなどは制限を設けず提案ができます。
その上で、イメージしている住宅づくりが叶う工務店さんに見積もりを依頼し、私たちが代理人として内容を確認していきます。
大切なのは、施工が始まってからではなく、施工が始まる前の準備段階なのです。
どんな用意をして、何を選べば自分の理想が叶うのか、
予算に見合うのか、そして想いを実現できるのか。
そのためにも、建築家にとっては、施主さまを理解することが、一番大切にしないといけない家づくりのプロセスだと思っています。
総予算の中で、理想とする住まいを実現するために、土地探しの段階から一緒に進めていくことが大切だと考えています。
施主さまが本当に求めているものを見極める
Q:新築の相談でも、結果的に中古住宅を勧めることもあるとうかがいましたがなぜでしょうか?
そもそも家を建てたいと相談に来る人は、決して新築にこだわっているわけではなく、理想とする暮らしを実現できる住まいを求めているものと思っています。
実際に話をしていくと、結果的には新築とリノベーションのどちらでもいいと考えている施主さまは多くいらっしゃいます。
では相談者が「これからの暮らし」を見据えているとして、それにはどのような方法が一番合っているのか。
このとき、私たちは家づくりの専門家として「新築であればこのようなことができる」「リノベーションだとこういうものができる」と
それぞれのケースで、できることできないことを提示します。
たとえ施主さまが中古住宅購入+フルリノベーションを希望していても、場合によってはリノベーションが不要な程度のいい中古住宅を買うほうがいいと判断すれば、
できるだけ性能のいい家を探すことをご提案します。
そのほうが費用を抑えて購入できるかもしれませんし。
このようなやり方をしていると「ビジネス的に損なのではないか?」と思われるかもしれません。
しかし、施主さまは私のビジネスを成功させるために相談へ来ているわけではありません。
その人に合ったものが満足のいくかたちで手に入ることが、誰にとってもベストなこと。
もしそのための方法が新築なのであれば、全力で新築を提案します。
特に土地については、買っていい土地とそうでない土地があり、比較したときにどちらの土地がいいのか最初に判断しなければいけない家づくりの関門です。
大半の方が高い土地を買って、そこへ安い建物を建てようとするのですが、それは本質的には施主さまの求めているものではないはず。
無理にローコストに落とし込んでできた家が「性能が悪くて住みにくい」というような結末になるのを避けるためにも、土地探しから住まいの提案を行っています。
風土・健康を意識した、カーテンを開け放っておける住宅設計
Q:得意としている設計やデザインはありますか?
私は木造建築が得意ですし合理的だと考えています。
ですが、もちろん施主さまの要望が、例えば「地下に車を6台入れたい」という場合ではRC造でつくらざるを得ないので、基本的には要望に応じてご提案します。
ただ一般的には、コストバランスを考えると、やはりRC造よりも木造のほうがいいケースが多いと個人的には考えています。
建築は、その土地の気候風土にマッチした工法を選ぶことが、コストが安くパフォーマンスがよくなると言えます。
リノベーションする場合も、木造の軸組であれば何十年経ってもリノベーションできますが、ツーバイフォー工法では難しい。
その理由は、日本の風土に木造の軸組が合っているから。
デザインも大切ですが、住む場所の風土に合わせることもポイントのひとつです。
また設計のテーマとして取り組んでいるのは、「テラスのある家づくり」です。
テラスを活用して敷地内のプライバシーを確保できれば、室内だけでなく屋外までめいっぱい住宅を使えるようになります。
外からの視線を気にしてレースのカーテンを閉めっぱなししないといけないようであれば、戸建住宅の良さを活かせないですよね。
土地という資産を得たからには、それを最大限活かせるプランニングが大切だと思います。
これから家づくりをする人は、ぜひ環境性能も意識してみてください。
特に高い断熱性能は健康寿命にも影響を与えます。
極論すれば、生命保険をかけるよりも、家の断熱性能にお金をかけたほうが長生きのためにはよく、賢い選択だと思っています。
そして住宅を建てる際は、立地が非常に重要な要素になります。
条件を挙げていくと、実は新築で建てるよりも中古住宅のほうが条件を満たしているだけでなく、価格も安かったという例は往々にしてあります。
一人でわからないことは私たち代理人に任せながら、理想の家づくりを叶えてくださいね。