2025/06/05
スタッフブログ
これまで数回に分けて太陽光発電についてご紹介してきました。
太陽光発電については住宅系以外の有名なユーチューバーの方々が批判的なコメントをしている方が多く、少し誤解があるのかなと感じています。
そこで、東京大学工学部の前真之准教授が『太陽光発電ファクトチェック』というものをネットに上げられています!
前先生ご自身が足を運び、誤解の多い部分に関して専門部門に問い合わせに行かれたりしています。
例えば火事になった時にどうなるのか、と消防庁に問い合わせに行ったりと、その結果を整理されています。
太陽光発電について疑問に思ってる方は、是非このファクトチェックをご覧いただければと思います!
今回はその中からいくつかをご紹介したいと思います。
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疑問:想定通り発電しないのでは?
ファクトチェック: 経済性検討では1kWあたり年間1000kWhの発電量を想定することが一般的ですが、経済産業省の実績ではほとんどの都道府県で1000kWhを上回っています。太陽光を設置した多くの住民は、発電量やコスト削減効果に満足しているという調査結果もあります。太陽光の発電実績は東京都の資産全体を上回っています。
疑問:発電量が低下したり、機器が故障したりするのでは?
ファクトチェック: 運用中に効率が低下することはありますが、多くのメーカーが10~15年のシステム保証、15~25年の出力保証を提供しています。パネル自体は数十年に渡り利用可能と予想されていますが、直流を交流に変換するパワーコンディショナー(パワコン)は10年程度で交換が必要になるのが一般的です。
疑問:パネルの重さで耐震性能が低くなるのでは?
ファクトチェック: 一般的な住宅用太陽光パネル(5kW分)の総重量は、パネル約300kg、設置架台約100kgで合計約400kg程度です。一方、一般的な屋根材の重量は約4000kg程度あり、太陽光パネルによる追加重量は屋根全体の重量に対して大きくありません。通常の耐震設計で問題なく、最初から設置を前提とする場合は、耐震等級3などでその重量を考慮して計算すれば済む話なので、大したことはないということです。
疑問:太陽光パネルの設置箇所から雨漏りするリスクがあるのでは?
ファクトチェック: 雨漏りは屋根以外(ベランダ、窓、天窓、外壁など)からも多く発生しており、住宅保証支援機構の調査では雨漏りの約8割が屋根以外が原因です。屋根が原因の22.4%のうち、太陽光パネル設置が原因の統計データはなく、ほとんどないものと考えられています。メーカー推奨の方法に従い適切に施工すれば、雨漏りのリスクは限りなくゼロに近いです。万が一発生した場合でも、瑕疵担保保険でカバーされるため住まい手の負担はありません。
疑問:台風やひょうなどの自然災害で壊れるリスクは?
ファクトチェック: 太陽光パネルの表面はガラスで密に覆われており、ひょうなどが当たっても容易には破損しません。一般的に、自然災害による太陽光発電設備の損害は火災保険でカバーされます。
疑問:火災発生のリスクがあるのでは?
ファクトチェック: 住宅用太陽光発電システムの設置数(約237万件以上)に比べ、火災事例は極めて少ない件数(調査対象72件中モジュールまたはケーブルが原因の火災等が13件など)です。適切に施工していれば、火災の可能性は限りなくゼロと言えます。
疑問:火災発生時の消化活動で消防士が感電するリスクがあるのでは?
ファクトチェック: 消防庁は、太陽光設置住宅における消化活動の注意点を整理しており、適切に対応することで問題なく消火活動を行えるそうです。放水による感電リスクについても考慮されています。
疑問:製造時のエネルギー消費やCO2排出を、運用時の発電量で相殺できないのでは?
ファクトチェック: NEDO報告書によると、2009年度の時点ですでに太陽光発電システムのエネルギーおよびCO2のペイバックタイムは2~3年程度とされています。その後も製造時の省エネが進んでいます。他の発電方式と比較しても、建設時等の間接と発電燃料燃焼の直接ともに、住宅用太陽光発電のCO2排出量は非常に少ないです。
疑問:大量廃棄時代が来て、パネルの処分に困るのでは?
ファクトチェック: 環境省の調査によると、日本全体の太陽光パネル廃棄量は年間5000~7000トン程度で、そのうち3分の2はリユースされています。リサイクル・処分されるのは約2000トン弱です。産業廃棄物全体(3.9億トン)や建設業からの産業廃棄物(8300万トン)から見れば、太陽光パネルの廃棄量は現状では極めて軽微であり、差し迫った問題とは言えません。
疑問:廃棄された太陽光パネルはリサイクルできないのでは?
ファクトチェック: 廃棄される場合でも、リサイクル技術は確立されており、各地のリサイクル工場で適切な処理が可能です。パネルを解体した後、セルや配線部分は非鉄製錬業者により金属回収され、ガラスなどはセメント原料や路盤材として再利用されます。
疑問:太陽光パネルには有害物質が大量に含まれているのでは?
ファクトチェック: 太陽光パネルの大部分(約8割)はガラスやアルミで、これは窓と同じ素材です。特有の素材であるセルは約3%、配線や半田は約1%に過ぎません。環境省の調査で一部のパネルから基準値を超えるセレンやカドミウムが検出された事例はありますが、市場シェアは小さく、メーカー独自のリサイクル体制が準備されています。現状では、有害物質を含まない結晶性シリコンパネルが大半です。
疑問:太陽光発電システムの撤去に多額の費用がかかるのでは?
ファクトチェック: 環境省の調査によると、住宅用太陽光発電設備の撤去にかかる費用は、解体業者で平均8.9万円、専門業者で平均18.9万円程度です。パネル1枚あたりの処理費は約2000円(埋め立て)または3000円(リサイクル)が目安とされています。
疑問:蓄電池とセットでないと太陽光発電は意味がないが、蓄電池は高いのでは?
ファクトチェック: 太陽光発電は、周辺の住宅でのエネルギー消費に貢献するため、地域全体のエネルギー自立に有効です。自家消費を増やすには蓄電池が最も有効ですが、コストは急速に低下しています。また、昼間沸き上げ型のエコキュートなど、太陽光で積極的に自家消費する設備も登場しています。売電価格が下がった今、自家消費率の向上が経済性を高める重要なポイントとなっています。
疑問:シリコンの主要生産地での人権問題(ウイグル問題)が心配だ。
ファクトチェック: 太陽光パネルに使われるシリコンの多くは中国製であり、人権問題が懸念されるウイグルで製造されるものが含まれると推測されています。これは重要な課題であり、日本も含め世界が連携して人権保護を進めることが重要です。ただし、シリコンは家電や車などあらゆる半導体に使われる現代社会の必需物質であり、これは太陽光パネル固有の問題ではなく、シリコンやレアメタル全般に共通する問題として対処する必要があります。
どんな設備にもメリット・デメリットはありますが、データに基づけば太陽光発電は経済性、安全性、環境性、エネルギー安全保障の観点からも有効な選択肢となり得ます!
ただし、繰り返しになりますが最も大切なのは住宅の基本性能です。
その上で、ご自身のライフスタイルや予算、災害への備えなども考慮しながら、太陽光発電の導入を検討するのが良いでしょう。
さらに詳しい情報や根拠については、紹介されていた前先生のファクトチェックや、前回ご紹介した今泉さんの動画などを参照されると良いかと思います。
このブログ記事が、太陽光発電について検討されている方の参考になれば幸いです!!
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