こんにちは、スタッフの鈴木です。
少しブログの間隔があいてしまいましたが、
皆様お変わりありませんでしょうか。
さて、本日は漆喰に関する記事となっております。
高橋
当社ではお客さまに室内の壁を漆喰で仕上げることをおすすめしています。
今回は、上野にある日本の漆喰の最大手である日本プラスターさんのショールーム『うまーくヌレールLABO』へ伺い、漆喰の良さに関して日本プラスターの奥山社長にお話を伺っていきたいと思います。
奥山社長
初めまして。日本プラスター社長の奥山と申します。本日はどうぞ宜しくお願い致します。
日本プラスターという会社は創業から93年目になります。漆喰を始めとした天然素材由来の塗壁材料を専業で93年製造してご提供している会社です。
とりわけ、漆喰をお住まいに数多く使っていただきたいということを念頭に置いており、北海道から沖縄まで数多くのご家庭や公共建築・様々な建物に漆喰をご提供させていただいております。
高橋
ありがとうございます。まず漆喰という素材についてご説明をお願いします。
奥山社長
漆喰というのは、石灰石を焼成して消化してできた、いわゆる水酸化カルシウム、消石灰を主原料としてその消石灰水酸化カルシウムを主たる固化材としたコテで塗る壁材料のことを漆喰と申します。
日本だけでなく、ヨーロッパでは日本人の観光客が魅せられているようなエーゲ海や地中海の白亜の建物、あるいはフランス・イタリアの古民家、こういったところが漆喰の建物です。
日本においては1300年前、奈良県の法隆寺が現存している一番古い漆喰壁で、姫路城を始めとした代表的なお城や土蔵の外壁に伝統的に漆喰が使われていました。
漆喰の価値や機能性を考えると、住宅においても、お住まいの方々に様々な面で有益ですので、普及の努力をしていきたいと考えています。
高橋
漆喰には7つの力があるということですが、具体的に教えていただきたいです。
奥山社長
漆喰は私自身は唯一無二の壁材というぐらいお住まいになる方々にとって非常に魅力的な機能性を有していると、様々な私共の研究を通して感じています。
それは2年前に日本アレルギー学会で東京慈恵医大様と共同研究の結果を発表したり、宇都宮大学や島根大学といった学識関係者の方々と研究したりした結果も報告しております。
それを端的に説明したのが『7つのチカラ』です。
主原料が水酸化カルシウムの帰するところが非常に大きいです。
1つ目はまず、防カビ性です。カビは漆喰が苦手で、カビを減じる強い効果があります。
2つ目は調湿性です。ミクロの世界では漆喰は穴ぼこだらけです。これが湿度を調節する力を持ちます。
3つ目が最近にわかに注目を浴びている水酸化カルシウムの力で、抗菌・抗ウイルスです。私どもの公的な試験においてもインフルエンザのA型等に対しての不活化が実証されています。
そして、住むと実感できる力が2つあります。まず、匂いがない。
先日も漆喰で仕上げた横浜の新築のお宅にお邪魔してきましたが、扉を開けると空気が綺麗で臭いがなく、とても気持ち良い空間でした。その隣に壁紙の部屋がありましたが、大変恐縮ですが、違いは笑うほどはっきりしていました。また、ペット臭や洗濯物の生乾きの独特の匂い、下駄箱の匂いを漆喰は消臭する力に優れています。
高橋
それは臭いの元を分解しているのでしょうか。
奥山社長
その通りです。例えば、下駄箱だと『イソ吉草酸』という酸が臭いの元になっていますが、それを吸収して分解しているので、所謂脱臭するという機能に長けています。
もう1つが、漆喰のお部屋は非常に明るいということです。これは漆喰の粒子が元々高反射しやすく、目に眩しくなくて、漆喰の部屋はとても明るいです。廊下や北側のお部屋にお使いいただくとよろしいかと思います。
また、1995年くらいから、シックハウス症候群という問題が社会問題になりましたが、この1番の原因物質がホルムアルデヒドです。家具等によく含まれていると言います。
このホルムアルデヒドを漆喰の水酸化カルシウムは吸着して再放出しない、実質分解することができます。
そして、最後に非常な大事なことは燃えないということです。漆喰は難燃性というレベルではなく、完全な不燃です。もちろん自然素材由来のため、有毒ガスを吐き出すこともありません。
以上が漆喰の7つの力になります。
高橋
ありがとうございます。先程、カビに対して有効というお話がありましたが、ビニールクロスの空間と漆喰の空間の違いの実験について伺いたいです。
奥山社長
カビというのはアレルギーの原因物質と言われており、さらにカビ臭さという問題があります。
漆喰のお家になると、カビを減じることができます。ビニールクロスを貼った部屋と漆喰を塗った部屋を準備し、湿度を強制的に加湿して高くし、腐防剤の入っていない食パンを壁面に触れず浮かした状態で置いてカビの生え具合を比較した試験があります。
こちらをご覧いただくと一目瞭然化かと思います。
高橋
衝撃的ですね。漆喰とビニールクロスの違いについて、より詳しく伺いたいです。
奥山社長
はい、まず調湿性が全然違います。ビニールクロスはあくまでビニールなので、調湿性が非常に低いです。それに対して、漆喰はミクロの世界では穴ぼこなので吸ったり吐いたりすることができます。これが非常に大きい点です。こもらない状態になります。さらに漆喰は主原料である水酸化カルシウム、pHは12を超えています。つまり、強アルカリ性です。それでいながら、表面は手で触っても荒れることはありません。
カビとしてはpH12の中では生息しにくい状態になります。これが著しい防カビ効果を発揮する理由です。
高橋
調湿性についての研究結果のグラフについてご説明をお願い致します。
奥山社長
こちらをご覧ください。
赤いラインが漆喰の室内空間における調湿性です。
当社の商品である『漆喰くるむ』では基本的に相対湿度が70%を超えにくい状態になります。大体、これまでの学術論文や治験の結果、湿度が70%を超えてくるとカビやダニが増殖しやすいとうことが実証されています。
高橋
漆喰のメリットについてはよくわかりました。
ただコストが気になるのですが、いかがでしょうか。
奥山社長
初期コストは、割高だと思います。単純にビニールクロスと比較した場合は割高であることは間違いないです。
値段は業者さんによって違いがあるので、具体的には申し上げられないですが、安い施工業者でもビニールクロスの2倍ということはないです。
一般的な2階建ての戸建住宅に塗った場合、工事費ではビニールクロスに比べると60~100万円プラスになるとご理解いただければと思います。
一方で、漆喰は100年壁だと考えられます。漆喰は塗られた後は空気中の二酸化炭素をずっと吸い続けて、最終的に石灰石に戻ります。今までのデータだとゆっくり石灰石に戻るので、大体100年かかります。すごく長持ちする壁です。
ビニールクロスのように剥がれたり、取れたりということはまずないので、長いスパンで考えたときに価値として非常に高いと思います。先程、申し上げたようにお住まいになる方への有益性は非常に高いと思います。トータルで考えると金額以上の価値があると思います。
日本プラスターは平成15年が売り上げの底でしたが、今は40倍になっており、どんどん伸びています。
そういう意味ではちゃんと価値を認めてくれている人が確実に増えていると思います。
高橋
ビニールクロスだと15年くらいで張替えが必要だと思いますが、漆喰はほぼノーメンテナンスで良いということでしょうか。
奥山社長
はい、我が家も自宅が新築してから21年経ちますが、ノーメンテナンスです。
高橋
漆喰は人によってはボロボロ落ちてきて、掃除が大変という話を耳にするのですが、その辺りは実際どうなのでしょうか。
奥山社長
ご指摘のように奥様方にとって漆喰や古壁というと、ポロポロとれて傷がつきやすくて、服にひっかかって、畳の縁がよごれるというご指摘をよくいただくのですが、日本プラスターとしてはお住まいの方にご不満・ご不安を感じさせることは良しとしていません。
我々は安心・安全、そして美しくて丈夫でないといけないということで日本プラスターの壁はポロポロするということは全くありません。
誤解されているのは、砂壁や繊維壁はポロポロするかもしれませんが、漆喰はそこまでポロポロしないと思います。最近は犬や猫を飼われている方が多いですが、猫については壁紙で爪とぎをしてビニールクロスがボロボロになることはありますが、漆喰の場合はできません。爪が研げないからです。
ペットを飼われている方には消臭力含めて、漆喰を選んでいただくお施主さんが多いです。
高橋
なるほど。日本の漆喰以外にもスイス漆喰やスペイン漆喰というのを耳にしますが、違いについて伺いたいです。
奥山社長
日本では昨年漆喰でJISが制定されました。主原料は消石灰、水酸化カルシウム、pHは強アルカリです。それで主たる固化材にした壁材が日本の漆喰です。
どことはあえて言いませんが、海外製品をはじめとして、漆喰とは名ばかりの製品が出回っていることを苦慮しております。
例えば、漆喰というのは石灰石を焼成して消化してできた水酸化カルシウムですが、漆喰と言いながら実際には石灰石、つまり炭酸カルシウムを焼成せずにただ入れたものを漆喰と呼んでいる材料があります。素である石灰石だけで漆喰といっても、先程申し上げたような機能は全くありません。
高橋
せっかく漆喰を選ぶのであれば、原材料やpHを確認することが大切ということでしょうか。
奥山社長
そうですね。あとは、白セメントを入れることで漆喰と呼んでいるところも多いです。これは密閉性が強くなってしまうので、凝結も早く、調湿性は全く変わってきます。そういう意味では何が入っているかというのは非常に重要です。
高橋
漆喰とひとくくりでいっても、JISの定義から外れたものの多いということで注意が必要ですね。
奥山社長
そうですね。また、漆喰は簡単に作ることはできません。私共が加入している日本漆喰協会では、少なくともパウダーベース、主原料である水酸化カルシウムがどんなに少なくても50%以上入っていないと成分として効果が減じられます。
高橋
一般の方々が漆喰のメリットを生かす壁紙にしたいと思った場合に、どんな質問をすると有効的でしょうか。
奥山社長
漆喰は練り置きが出来ます。水で混ぜ合わせて空気に触れなければ固まりません。セメントや他のものが入っているとカチコチになってしまうので、一目瞭然です。成分に関して質問することが一番だと思います。
高橋
室内だけでなく、外壁に漆喰を使うという選択肢もあると思いますが、メリットや特性・耐久性を伺いたいです。
奥山社長
元々、日本ではお城や土蔵のように外部で使われることが伝統的漆喰では主体でした。室内で使うことを主体に考えたのは私をはじめ、シックハウス症候群が問題になってからここ20~30年の話です。
なぜそもそもお城や土蔵に漆喰が使われていたかというと、高級な建物であるという証のためです。当時江戸時代では明かりがあまりなかったので月明かりが数少ない明かりでした。そこで高反射し、明るいということが権威の象徴でした。もう一つは敵が来襲してきたときによく見えるので、大切な人や物を囲うところでは漆喰が使われていたという優位点があります。
今の現代の住宅で使った場合には、先程からお部屋が明るくなる、あるいは高反射するとお伝えしていましたが、漆喰は白であることに加えて、高反射率が高いので漆喰の建物の表面温度は通常の塗料に比べて著しく低いです。いわゆる遮熱材以上に遮熱だと思います。
そして何よりも漆喰の白はまさに真っ白です。
あとはおしゃれだということです。正し、通常の有機溶剤や油系の塗料と比べると自然素材のため、屋根の庇や笠木をしっかりとらないと、雨にずっと上から叩かれていると将来的には雨垂れの汚れ等に痛みやすいので、ある程度の屋根や庇はあったほうが好ましいと思います。
当社の「漆喰くるむ外」というのは、今屋根や庇がどんどん減ってきているのでそういうところでも使えるように開発をしています。ただ、一般的な漆喰を使う場合には必要だと思います。
高橋
メンテナンスについては、いかがでしょうか。
奥山社長
例えば、日本プラスターの栃木本社・工場は外壁が全て漆喰になっています。鉄骨造の建物に全面漆喰を塗っています。工場のため、屋根の庇はなく、直接雨にたたかれています。
3年に一度ケルヒャーで水洗いをすることで汚れは取れています。
高橋
定期的な塗装は必要ないのでしょうか。
奥山社長
今は建物が建ってから6年目なので、まだわかりませんが、今後塗りなおす予定はないです。
高橋
お城等はノーメンテナンスだったのでしょうか。
奥山社長
これまで大改修は行われていますが、漆喰だけを考えた場合には10~20年の単位というよりは30年という単位になると思います。
続きは後半でお伝えしたいと思います!