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2021/01/17

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他の先進国では、健康という観点から「性能基準」が定められている

こんにちは、スタッフの小垣です。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。


日本では「省エネ基準」という、あくまでも「省エネ」という観点から、住宅や建物の断熱性能が定められています。

ところが、ヨーロッパの国々やアメリカでは、居住者の「健康」という観点から基準が定められています。

下記の図では、イギリスの健康省、日本でいう厚生労働省が「寒さの健康影響」について、寒いとこういった健康被害の原因になりますよ、ということを示しています。


同じく、こちらもイギリスの健康省が「過度な寒さのリスク」として、国がハッキリと示しています。


また、ニューヨークの「最低室温規定」では、賃貸住宅のオーナー向けの規定があります。


夜寝る前に暖房を切ったとしても、翌朝13度以下にならないような断熱性能を確保するように要求されています。

これはニューヨーク州のみではなく、アメリカの北東部8州に各規定が定められています。



この図のように、ニューヨーク州はむしろ緩い基準ということが分かります。

また、赤字の部分に注目していただくと「Health」や「Welfare」という単語が入っています。

つまり、日本でいう「厚生労働省」にあたる所が所管しているということです。

日本では「省エネ基準」というのは「国土交通省」ですし、住宅の性能については「経済産業省」「環境省」この3省が連携しています。

しかし、厚生労働省が「予防医学」や「居住者の健康」という観点から、住宅の性能について研究しているという話はほとんど聞かない、これが日本の状況です。

また、イギリスでは、2016年4月から賃貸住宅のオーナーに対して、居住者から省エネ性能の改善を求められた場合は拒否できない、となっています。


さらに、2018年4月以降は、省エネ等級がEランクに満たない家は、賃貸を禁止されています。

このEランクですが、イギリスは7段階の性能表示がされていますが、Eは下から3番目となっています。
 
つまり、最低ランクだけでなく、下から2つのランクは、断熱改修工事をして、一定の性能を確保し断熱基準を満たさないと、貸してはいけないということです。

こういった考え方や基準の違いにより、一般的な住宅に使用されている「窓」のサッシや「壁」の厚みが異なります。




このような話になりますと、日本は欧米と比較して温暖だからではないか、という方がいらっしゃるのですが、東京の夏は確かに暑いのですが、冬はパリやロンドンよりむしろ寒いことが分かります。


このように、日本の冬は決して暖かくはないのです。

ところが、兼好法師の有名な言葉で「家の作りやうは、夏をむねとすべし」という言葉があります。

 今でも設計者の方々で、この言葉を胸に刻んで設計されている方が多くいらっしゃいます。

しかし、兼好法師の時代の1910年では、夏の死亡率が高かったのです。


これは、冷蔵庫などが普及しておらず、食当たりや腸チフスが多かったと言われています。

それが、年々変化し、1970年では圧倒的に冬に亡くなる方が多くなっています。

今はどこの先進国でも、冬に亡くなる方が多いそうです。

ところが、夏と冬で死亡率にこんなにも差がある国は、日本と地中海沿岸の2・3の国に限定されているようです。

では、どうして日本は冬の死亡率がこんなにも高いのか、ということですが、1番大きいのは「日本人は我慢の生活をしている」ということです。

少し古いデータですが、世帯あたりのエネルギー消費量について見てみましょう。


寒い国であるにも関わらず、中国と同じくらいしか暖房にエネルギーを使っていないことが分かります。

それに対して、欧米の国々では暖房にエネルギーをかなり使用してきたので、これらを減らしていこうとして、現在では住宅の断熱性能を高めることに力を入れています。

こういったことから、日本では「省エネ」の観点ですが、他の国々では「健康」という観点から基準が定められているというように、考え方が大きく違う、ということを知っていただければと思います。

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